大人のアトピーの原因とは？

私は幼少期から大人になった現在もずっとアトピー性皮膚炎（以下アトピー）で現在も格闘中です。

自分の経験や知識を発信することで、みなさんのアトピーの悩みや苦しさを少しでも和らげたいと思い記事にしています。

この記事では大人のアトピーの原因についてまとめました。

皆さんの症状が少しでも良くなることを願っています。

まずは、アトピーとはどんなものか確認したいと思います。

アトピーはどんな病気？

アトピーはかゆみを伴う湿疹が悪くなったり良くなったりを繰り返す皮膚の病気です。

また、患者の多くはアトピー素因を持つアレルギーを起こしやすい体質であるようです。

乳幼児期にアトピーになり、成長するとともに治っていくことが多いと言われています。

しかし、大人になっても治らないことや一度治った人が再発する場合もあります。

ガイドラインには以下のように定義されています。

アトピー性皮膚炎は，増悪と軽快を繰り返す瘙痒の ある湿疹を主病変とする疾患であり，患者の多くは「ア トピー素因*」を持つ.

引用元：アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018

*「アトピー素因」について

①家族歴・既往歴(気管支喘息，アレルギー性鼻炎， 結膜炎，アトピー性皮膚炎のうちいずれか，あるいは 複数の疾患)，または②IgE 抗体を産生しやすい素因.

引用元：アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018

アトピーの定義をまとめると以下のようになります。

1. 悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹の病気
2. 多くの患者がアトピー素因を持っている
3. アトピー素因とは、自分または家族が特定の疾患を持っている、またはlgE抗体を生産しやすい素因のこと

アトピーとアレルギーの違い

アレルギーは免疫の異常反応のことで、花粉や食べ物など特定の物質に対して起こります。

アレルギー反応の病気としてじんましんやアトピー、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシーショックなどがあります。

アレルギーがアトピーの原因の一つとなっている事もあります。

一方、アトピーは悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹の病気のことです。

服が擦れてかゆくなったり、化学繊維の服を着た途端にかゆくなったりするようなアレルギーとは考えにくい反応も含まれます。

アトピーの原因となるものは？

いくつもの要因が重なり症状があらわれるため原因を特定することは難しいと言われています。

そして、個人によっても体質や環境などが違うため原因は様々です。

一般的な悪化要因を見ていきましょう。

大人のアトピーと子どものアトピーの違いは？

基本的には体の成長度合いによる皮膚の状態の違いが大きいと思います。

そして、大人のアトピーはより環境的な影響が大きいと言えます。

子どものアトピーの特徴

子どもたちの体は成長過程であり皮膚のバリア機能が未熟な状態です。

そのため、外からの刺激を受けやすくアトピーになりやすいと言えます。

しかし年齢を重ねていくとともに皮膚のバリア機能が向上し症状が改善していく傾向があります。

生後4ヶ月で発症しても1歳6ヶ月までに改善した子どもは70%もいるそうです。

大人のアトピーの特徴

大人のアトピーを発症するパターンは主に３つです。

・子供の頃からずっとアトピー

・子供の頃に発症し大人になるまでに症状が収まっていたが、大人になって再発

・大人になって急にアトピーが発症

特に大人になって急にアトピーが発症した場合は、今まで経験したことがない症状が突如あらわれることになりかなり戸惑うと思います。

また、大人のアトピーの特徴として仕事が忙しく継続的な通院が難しかったり慢性的なストレスを感じていたりして、治りにくくなっているケースが多いと思われます。

大人のアトピーの原因とは？

様々な要因が考えられますが、生活環境の変化による影響が大きいと思われます。

生活環境の変化によって生活が乱れたり日々ストレスが溜まっていったりと今までなかった悪化要因が発生してしまいます。

そしていろいろな要因が重なり合って症状があらわれると考えられます。

主な要因として以下のようなことが考えられます。

・学生から社会人になった時や妊娠・出産時などの生活環境の変化

・生活環境の変化に伴う食生活やホルモンバランスの変化

・生活環境の変化によって発生した日々のストレスや睡眠不足

また、アレルギーが原因ではと思う方もいるかもしれません。

ですが、大人のアトピーはもともとアレルギー体質だった人がなりやすいわけではなく、逆にアレルギー体質の人が必ずアトピーを発症するわけではありませんので注意が必要です。

大人のアトピーとの付き合い方

アトピーは様々な悪化要因が考えられ原因の特定が難しいため完治させることが難しいと言われています。

なので完治させることにこだわりすぎると神経質になって余計にストレスを感じて症状がさらに悪化することにつながりかねません。

with アトピーの気持ちで上手に付き合っていくことが大切だと思っています。

①皮膚科受診

この記事を読まれている時点でみなさんの症状はそれなりにひどい状態なのではないかと思います。

自分も何度も経験がありますがかゆいときの苦しさは非常に辛いです。

まずは皮膚科を受診して薬による治療からはじめて、辛い状況から抜け出してほしいと思います。

また、自分自身はアトピーだと思っていてもアトピーではなくアレルギー症状であったり別の病気の可能性もあります。

そのため一度は医師の診断を受けることをおすすめします。

②薬による治療

アトピーの症状がでるとかゆみとともに皮膚のバリア機能が著しく低下した状態になっています。

そしてかゆくて掻いてしまうとバリア機能が失われ刺激を受けやすくなり、さらに掻いてしまうという負のスパイラルに陥ってしまいます。

まずは皮膚の炎症を抑えて掻く行為を減らしバリア機能を改善するために、適切な薬を使用した治療をしましょう。

外用薬(塗り薬)

塗り薬の主な役目は免疫反応や炎症を抑えることです。

塗り薬にはステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬、免疫抑制薬などがあります。

ステロイド薬は効き目の強さに応じて5段階に分類されています。

どのくすりをどれくらい使うかは、症状や部位によっても変わってきます。

最初は1日数回程度使い、症状が改善するにつれ1日1回や数日おきと少しずつ量を減らしていきます。

そして最終的には塗り薬ではなく保湿剤によるスキンケアへ移行することが目標です。

飲み薬

医師の判断にもよりますが、外用薬と一緒に飲み薬を使用することでより効果的に症状を抑えることができます。

搔くことが続く限り負のスパイラルも続きアトピーの症状は良くなりません。

飲み薬の抗ヒスタミン剤で過剰なアレルギー反応を抑制し掻くことを減らすことが期待できます。

塗り薬と一緒に使用して症状の改善をより早めることができれば気持も楽になります。

③毎日の肌の手入れ

毎日の肌の手入れの役目は皮膚を傷つける刺激でも壊れないようなバリア機能を保つことです。

もともとアトピーの皮膚は乾燥しやすくバリア機能が低下しています。

なので、油断して日々の手入れを怠ってしまうとすぐに症状が悪化してしまいます。

症状が少ない場合でも油断せずに毎日の肌の手入れをして症状の悪化を予防するとともに刺激に負けないバリア機能を備えられるようケアしましょう。

基本はやさしく洗って清潔に保つこととしっかり保湿をすることです。

体を洗うときのポイント

タオルでゴシゴシ洗ってしまうともともとバリア機能が低下している皮膚に負担をかけることになって逆効果になっていしまいます。

皮膚に負担をかけずに皮膚の汚れをやさしく取り除くことが大切です。

保湿のポイント

体を洗って水分を拭き取った後はできるだけ早くローションやクリームで保湿をしましょう。

入浴後は水分が蒸発しやすく、15分以上時間が経つと肌が乾燥しやすくなります。

乾燥してしまうとバリア機能が低下し刺激に弱くなり症状が悪化する要因になってしまいます。

入浴後の保湿は15分以内を目安に行いましょう。

また、保湿のタイミングとしては朝起きた時もおすすめです。

１日数回保湿することでバリア機能の低下を防ぎましょう。

④悪化要因への対策

「アトピーの原因となるものとは？」の項目であったように症状を悪化させる要因がいくつか考えられます。

その要因をできるだけ無くしたり避けたりすることで症状の悪化を防ぐ事ができる可能性があります。

食生活での注意点

特定の食べ物に対してアレルギーがある場合はその食べ物は食べないように注意してください。

知らず知らずのうちにアレルギー物質を摂取していて症状が悪化していたという事もあります。

何の食べ物が自分にとってのアレルギーか分からない時はアレルギー検査を受けてもいいと思います。

また、食事の栄養が偏らないようにバランスの良い食事を心がけましょう。

カップラーメンやコンビニの弁当などが続くと体に必要な栄養素が入らず根本から体調を崩しかねません。

そうなると肌が荒れたり肌のバリア機能が低下したりして症状が悪化する要因になってしまいます。

アレルギー物質の除去とバランスの良い食事が大切です。

環境的な要因への対策

生活環境は清潔に保ちましょう。

生活環境で発生する皮膚への刺激としてダニやハウスダストなどがあります。

居住時間が長い場所や寝室を中心にこまめな掃除を行うことで皮膚への刺激を減らし症状悪化を予防することができます。

例えばカーペットをフローリングに変えるなどの対応は非常に有効です。

ただし、完全にダニやハウスダストを除去することはできません。

神経質になりすぎず適度に清潔な環境を保つことを心がけましょう。

ストレスへの対策

アトピーの症状を悪化させる要因の一つがストレスです。

特に大人のアトピーではストレスが症状を悪化させる大きな原因として考えられます。

仕事や育児で毎日感じているストレス、社会人になり生活環境が変わったことで感じるストレスなど色々なストレスがあり一人一人違います。

自分なりのストレス発散方法やリラックスする方法でストレスを溜め込まないようにしましょう。

ただしやけ酒や暴飲暴食などのストレス発散方法は根本から体調を崩し逆効果となるので注意してください。

皮膚に直接的な刺激を与える要因への対策

肌に直接触れるものに注意してください。

汗をかいたらきれいに拭き取ったり、下着は清潔なもので自分にあった肌触りのものをを身につけるなど皮膚への刺激をなるべく減らします。

ただし神経質になりすぎるとかえってストレスが溜まってしまいます。

日々の生活の中で無理なく続けられることを継続していきましょう。

⑤生活を整える

規則正しい生活をしましょう。

不規則な生活や恒常的な睡眠不足は体調を崩す原因になり、結果アトピーの悪化を招いてしまいます。

なので、22時に寝て６時に起きるというように寝る時間と起きる時間を決め睡眠時間をしっかりとり生活リズムを整えます。

痒くて眠れない場合は痒みを抑える薬の処方や寝具の手入れなどで睡眠をしっかり取れる環境を作ることが必要です。

また、体操したりウォーキングしたりして体を動かし健全な体作りもおすすめです。

規則正しい生活をすることで体調が整えられ、肌のバリア機能が上手に働くようにしていきましょう。

※民間療法だけでの治療をおすすめしない理由

民間療法だけでアトピーを治すことは難しいと思っています。

これは自分でいろいろな民間療法を試した結果の結論です。

もちろんいろいろな方法を試してうまくはまればアトピーが治る場合もあるかもしれません。

ですが感覚的に民間療法だけで治せる確率は宝くじを当てるくらいかなり低いです。

私は民間療法での完治はできず、辛い思いを長い間経験しました。

なので、特に症状がひどい場合に民間療法だけで治療しようとしても次のような負のスパイラルに陥ってしまう場合が多いと思います。

民間療法で陥りやすい負のスパイラル

・いろいろな方法を試す必要がありよくなる場合でも時間がかかる

・そして治療の結果が出るまで症状は維持されるか悪化し辛い症状が続く

・結果その症状に耐えられなくなり症状が良くなる前にやめてしまう

・即効性があるものは、その時よくなってもすぐに症状が元通りになり続かない

そもそも民間療法で症状がよくなる保証はありません。

民間療法で治そうとするよりもまずは①～⑤を実践し、つらい症状を改善するほうが先決です。

民間療法にこだわるなら①〜⑤を実践した上で自分にあった方法をゆっくりと探していくほうが有意義な生活を送れると思います。

まとめ

では今回の記事のまとめです。