私は幼少期から大人になった現在もずっとアトピー性皮膚炎(以下アトピー)で現在も格闘中です。
自分の経験や知識を発信することで、みなさんのアトピーの悩みや苦しさを少しでも和らげたいと思い記事にしています。
この記事ではアトピーの原因を特定できるのかについてまとめました。
皆さんの症状が少しでも良くなることを願っています。
まずは、アトピーとはどんなものか確認したいと思います。
目次
アトピーとは
アトピーはガイドラインに以下のように定義されています。
アトピー性皮膚炎は,増悪と軽快を繰り返す瘙痒の ある湿疹を主病変とする疾患であり,患者の多くは「ア トピー素因*」を持つ.
「アトピー素因」について
①家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎, 結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは 複数の疾患),または②IgE 抗体を産生しやすい素因.
要約するとアトピーは、
- 悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹の病気
- 多くの患者がアトピー素因を持っている
- アトピー素因とは、自分または家族が特定の疾患を持っている、またはlgE抗体を生産しやすい素因のこと
特定の疾患:気管支喘息,アレルギー性鼻炎, 結膜炎,アトピー性皮膚炎
lgE抗体:体に入ってきたアレルギー物質に対して働きかける抗体
アトピーの原因と考えられるものとは?
アトピーはいくつもの要因が重なり症状が現れるため特定の原因を見つけることが難しいと言われています。
以下に原因となり得る要因を挙げていきます。
食生活
同じものを食べ続けたり一部の食品を取らないといった偏食により栄養不足や栄養過多、またはアレルギー物質など原因となる食べ物から症状が悪化することがあります。
また自己判断で特定の食品を排除してしまうと必要な栄養素が取得できなくなり、発育障害等に繋がる場合があるため注意が必要です。
ダニやハウスダスト
家の中のダニやほこり,花粉,ペットの毛などの環境アレルゲンによって悪化することがあります。
これらの環境アレルゲンを除去することで、症状が良くなることはあっても完治させることは難しいと言われています。
ストレス
ストレスがアトピーを悪化させる要因となることがあり、例えば緊張や睡眠不足により症状が悪化することがあるようです。
初めての仕事の後や重要な試験が終わった後など、緊張が解けた時に症状が悪化することがあります。
また、社会人になるタイミングや妊娠・出産による生活環境の変化によるストレスも要因として考えられます。
日常生活での皮膚への刺激
髪の毛や衣服の摩擦、唾液や汗による日常生活での皮膚への影響で症状が悪化する場合があります。
自分の皮膚にあった衣服を選ぶことや髪の毛を短く切ったり束ねることで皮膚への刺激を減らすことが大切です。
また、汗をかいたら柔らかい布で拭き取ったり洗い流すなどのケアも重要です。
接触アレルギー
外用薬、化粧品、シャンプー、金属など皮膚に直接触れることでおこる接触アレルギーで症状が悪化することがあります。
治療へが期待通りに進まない場合や特定の箇所での湿疹、急に発症した場合などは接触アレルギーの可能性が考えられます。
アトピーの原因を特定することはできる?
アトピーはこれまで紹介してきたような要因も含めいくつもの要因が重なり症状が現れるため特定の原因を見つけることは難しいと言われています。
それでも何か検査をして原因を調べたいと思う人も多いと思いますが、検査としてはアレルギーの検査が一番に思いつきます。
ここで、アトピーとアレルギーとは違いますのでアレルギー検査はアトピーの直接的な原因を特定する検査ではないということをこれからお伝えします。
アトピーとアレルギーの違い
文字もよく似ていて意味も同じように感じてしまいますが違うものなので注意が必要です。
アレルギーは免疫の異常反応のことで、花粉や食べ物など特定の物質に対して起こります。
しかし、アトピーは悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹の病気で、服が擦れて痒くなったり化学繊維の服を着た途端に痒くなったりするような免疫の異常反応だけとは考えにくい反応も含まれます。
ポイント
・アレルギーは免疫の異常反応のこと
・アトピーは悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹の病気
・人によってはアトピーの悪化要因の中にアレルギーが含まれる場合がある
なので、その2つについての検査は調べる目的がそれぞれ違うということも理解しておく事が必要です。
特によく聞くアレルギー検査については間違った認識をしている方が多いと思いますのでここで確認しておきます。
アレルギー検査とは
・アレルギー検査は免疫を過剰に反応させる物質を特定する検査
・アレルギー検査はアトピーの直接的な原因を見つけるための検査ではない
・そのため、検査結果で出たアレルギー物質を完全に除去してもアトピーが完治するわけではない
ここからはアトピーの検査、アレルギーの検査について説明していきます。
なお、以下に記載の検査料金は医療機関によって変わりますのであくまで目安の金額と思ってください。
アトピーに関する検査について
アトピーの原因を探すのではなくアトピーの重症度を測るTARC(タルク)検査というものがあります。
TARC値が高い(重症度が高い)場合には強い治療を行い、TARC値が低い場合は薬を減量するという形で、長期的に治療を行う上で治療内容を決める指標になる有効な検査です。
また、アトピーの症状を見た目でしか判断できない中、TARC値によって自分が今どんな状態かが数値で可視化されることは治療を行っていく上でのモチベーションにつながります。
月1回程度の定期検査を行い治療方法を決めていきます。
検査費用は保険適用で1000円程度が目安です。
アレルギー検査について
アレルギー検査はアトピーの直接的な原因ではなく、悪化誘因を知る事ができる検査ということを理解する事が重要です。
自分のアトピーを悪化させる可能性のある悪化誘因を知っておくことが症状を悪化させることを防いだり和らげたりする一つの対処法になるということで検査を受けることは意味があると思います。
アレルギーの検査方法はいくつかありますので紹介していきます。
血液検査
通常保険適用の範囲内で最大13項目まで測定でき、検査結果が7段階で表示されます。
しかし数字と症状が一致しないこともあり数字が高くても症状がないこともあるため、検査結果だけでアレルギーと診断することはできません。
検査費用は保険適用で5000円程度が目安です。
また、MAST36、VIEW 39といった13項目調べるのと同程度の価格で1度に30項目以上測定できる検査もあります。
自宅での血液検査キット
自分で調べられる検査キットも薬局やウェブサイトから購入できます。
検査項目によって価格は、2万円台~4万円のものまであり最大219項目検査可能のものもあります。
指先から少量の血液を採取し郵送で送る方法で検査可能です。
通常は1週間から10日前後で結果が送られてくるようです。
検査精度は商品によって異なるようですが、病院で受けるものとは大差ないようです。
パッチテスト
アレルギーの原因となる物質を正常な皮膚に貼付して調査する方法です。
湿布や金属、ヘアカラーなどでのかぶれの原因を特定する場合に有効です。
検査に数日間かかるため余裕を持った日程調整が必要です。
検査費用は保険適用で6,000円程度が目安です。
プリックテスト
アレルゲンを針で少量皮膚に直接入れることでその反応を調べる方法です。
乳幼児も含めて全ての年齢の方が行うことが可能で、結果が数十分という短時間でわかるメリットがあります。
検査費用は医師の判断で保険適用の場合に1000円程度が目安です。
皮膚生検
局所麻酔を行い、一部の皮膚を採取し検査を行います。
採取した皮膚を顕微鏡で確認したりどのようなパターンで炎症を起こしているかなどを観察します。
結果が出るまでには2週間程度かかるようです。
医師の判断により皮膚生検を行います。
検査費用は保険適用で8,000円程度が目安です。
アトピーの原因を特定することよりも大切なこと
これまでいろいろな検査を紹介しましたが、アトピーの直接的な原因を見つけることは現状の検査では難しいということです。
(もちろん、アレルギー検査で直接的な原因が見つかるケースも中にはあるかもしれませんが...)
しかし、原因の特定が難しい以上アトピーを治すことではなくアトピーとうまく付き合っていく「withアトピー」の気持ちを持つことが大切だと思っています。
いろいろ検査や民間療法を試してもなかなか症状が良くならず、なぜ治らないのかと考え込んで余計なストレスを感じてしまうとさらに症状が悪くなる悪循環に陥ってしまいます。
まずはアトピーの症状は波があり、悪くなったり良くなったりを繰り返す病気ということを理解しましょう。
そして、症状が悪くなった時に塗り薬を塗ったり飲み薬でかゆみをおさえたりなど自分なりの対処法を持っておくことで、より症状が安定した日常生活を送ることができます。
アトピーの原因を探すことや治すことに執着しすぎて、神経質になりすぎないように注意しましょう。
まとめ:アトピーの原因は特定できる?
アトピーはいくつもの要因が重なって起こる病気で、現在直接的な原因を特定する検査はありません。
アレルギー検査はありますが、そもそも調べる対象がアトピーの原因ではないことを理解しておきましょう。
では、今回の記事のまとめです。
アトピーの原因を特定することは難しい
- アトピーは悪くなったり良くなったりを繰り返すかゆみを伴う湿疹
- アトピーは、食生活やハウスダスト、ストレスなどいくつもの要因が重なるため原因を特定することが難しい
- アレルギーは免疫の異常反応のことでアトピーとは違うもの
- アレルギー物質を調べる検査はあるが、アトピーの原因を特定する検査はない
- アトピーの原因を探すよりもwith アトピーの気持ちでうまく付き合っていくことが大切